事業承継税制とは、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度のこと。
ジャニーズ事務所の社長を引責辞任した藤島ジュリー景子氏が、頑なに代表取締役の椅子にしがみついていることに疑問を抱いた人も多いだろうが、その理由こそ「事業承継税制の特例措置」によるものではないかと言われている。
法人版の事業承継税制では、申請して都道府県知事の認定を受けると、後継者が取得した株式などへ係る贈与税・相続税は100%猶予される。
ただし、特例の恩恵を受けるには、税の申告期限として定められた翌日から5年間は、後継者が代表者として事業を継続し、さらに5年以降も後継者が株式を継続して保有を続けなければならない。
前社長が死亡したのは2019年7月9日。
相続税の申告は被相続人が死亡を知った日の翌日から10カ月以内と定められている。
つまり20年5月が期限だ。
そこから5年間、少なくとも25年までは景子氏が代表取締役を務め、継続して株を保有しなければ、莫大な相続税を負担しなければならなくなる。
なお、事業承継税制は中小企業の円滑な引き継ぎ促進を目的としている制度なだけに、非上場とはいえ莫大な資金と収益力を有するジャニーズ事務所が制度を活用しているのは本来の趣旨からズレているとの意見も多い。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。