ジニ係数は、イタリアの統計学者コラド・ジニが考案した、所得や資産がどれくらい分配されているかを表す指標。
厚生労働省は8月22日、世帯ごとの所得格差を示す2021年の所得再分配調査の結果を発表し、ジニ係数が過去最悪だった14年調査と同水準となったことを明らかにした。
ジニ係数は、給与の額面、税金や社会保険料の控除額、年金や医療介護などの社会保障給付、児童手当などの金額を基に算定する。
0から1の間で表され、格差が大きくなるほど「1」に近づく仕組みだ。
一般に0.4を超えると所得格差が大きく、社会騒乱や暴動が起きやすくなるといわれる。
日本ではジニ係数を算出する調査は1962年以降、おおむね3年ごとに実施され、前回は17年だった。
今回は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、1年遅れで行われることとなった。
調査結果によれば、金や社会保険料を支払う前の所得に当たる「当初所得」で算出したジニ係数は14年には0.5704だったが前回調査の17年に0.5594と改善。
しかし最新の調査では再び増加に転じて0.5700となった。
厚労省は「高齢化が進み、当初所得が低い人が増えたことが要因」としている。
なお税金や社会保険料を差し引き、社会保障給付を加えた再分配所得のジニ係数では0.3813だったが、こちらも前回から悪化した。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。