相模原市内の小学校や中学校で、税理士による租税教室の活動を行っています。
日本には50種類以上の税金があり、それぞれ、稼いだ時にかかる税金、持っていることにかかる税金、使ったときにかかる税金と区分することが出来て、総合的に「公平」を目指しているのだと説明します。
所得税法、法人税法、相続税法などを学ぶと、それぞれに理論と哲学を感じます。税務は常識が基礎にあり、当局との折衝に当たっても常識に沿った議論が有効です。
一方、それらの税には景気対策や産業支援と言った政策的な見地から租税特別措置法と言う特例的な規定が追加されています。要件や手続きが中心で改正が頻繁に行われるため、税理士にとっては大変ですが、うまく活用し、節税に繋がるよう、毎年勉強しています。
インボイス制度がスタート
さて、いよいよ消費税のインボイスがスタートしました。消費税法自体が租税哲学や論理性が乏しい税法で、インボイス導入に当たってはさらに「理論と常識」だけでは対応困難な事態も想定されます。激変緩和目的で俄かに作られた臨時措置もややこしいものばかりです。
例えば、免税事業者からの仕入れ税額相当額のうち一定割合(80%、50%)を控除できる、いわゆる「80%控除」の経過措置が設けられていますが、この適用を受けるには①区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存が必要で、②帳簿に「経過措置の適用を受ける旨」を記載すること。とされています。いちいち確認や処理が生じますので、実際の経理業務はかなり増加するものと思います。
原則課税の事業者、簡易課税の事業者、新たに消費税の申告をすることとなった事業者、今後も免税のままの事業者、それぞれにおいて対応に差異があります。
先の財務大臣や国税庁の発言では、税務調査に際して、些細な過ちは調査対象としないということですから、重要性の高いことから対応を整えるべきと思います。
ところで、インボイス制度は経理担当者が理解していればいいと言う訳ではありません。むしろ現場社員がきちんと対応しなければ税負担が増えかねないことも周知が必要です。
今後、様々な疑問が生じて、弊所からご指導申し上げることもあるかと存じます。まずは、経常的な取引先や、金額の大きな取引を中心にきちんとした確認を行うことから、新たな制度に対応して参りたいものと存じます。