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ネット販売での売掛債権の貸倒れ

ネット販売での売掛債権の貸倒れ

特定の顧客と継続的な取引を行っている場合に生じた売掛債権については、一定期間取引停止後弁済が無い場合に、その売掛債権の額から備忘価額(1円)を控除した残額を貸倒れとして経費にすることが出来ます。

これは、売掛債権は、他の一般の貸付金その他の金銭消費貸借契約に基づく債権とは異なり、履行が遅れてもすぐに債権を確保する手続きを取ることが事実上困難であることなどの事情に配慮して認められたものです。

なお、この場合の「取引の停止」とは、継続的な取引を行っていた債務者について、その資産状況、支払い能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合を言います。

そのため、例えば不動産取引のように、同一人に対して繰り返して行うことの無い取引を行った相手である債務者に対して有する売掛債権が1年以上回収できないような場合には、この取り扱いの適用はありません。

この点で、ネット販売は一般の消費者を相手にし、同じお客さんに継続して買ってもらう事もありますが、1回限りのことも多くあるでしょう。
そうすると、通常継続行われる取引とは言えなくて、上記の取り扱いの適用が無いものとも考えられます。

しかし、ネット販売において、一度注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している場合には、結果として実際の取引が1回限りであったとしても、その顧客を「継続的な取引を行っていた債務者」として、その1回限りの取引が行われた日から1年以上を経過したときに上記の取り扱いをすることが出来ます。

実店舗を構える費用が不要な分、お手軽に企業が出来るネット販売。
代金を巡るトラブルも多いように思います。

いずれにしろ、貸し倒れにならない工夫が一番かもしれませんが、
一方で、正直者が多く住む国では、
そんなところに費用を掛けない方が利益が出るという実務もあるのかもしれませんね?

税理士 冨岡弘文

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