固定資産の交換は所得税の特例が
コロナ禍にあって、地方でのんびり働きたいという機運があるようです。
都市近郊の土地取引は活発です。
ところで、地主さんの家では、先祖から相続した土地について、兄弟で共有になっているケースはままあります。
兄妹でも事情はさまざまですので、手放したい人、維持したい人の意見が合わずに困ることが。共有状態から、分筆して区分所有にすれば、それぞれの思い通りに出来ますね。
また、親戚などが持っているここの土地と、自分が持っているあの土地とを交換できれば有効活用になるなどの事情で、交換したいとの相談があります。
交換って、税務上は「譲渡」です。
売ったお金と買ったお金が相殺になっているだけです。
お金が動かなくても申告が必要。
資産を譲渡してお金が入って、むかしに買った値段より値上がりしていれば儲かったので税金を支払うと言うのは良く判る。
でも、お金が入ってこなければ税金を払えないですね?
所得税では、個人が土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換する場合、一定の要件に当てはまれば、譲渡が「なかったもの」とできる特例があります。「固定資産の交換の特例」です。
一定の要件とは、
①交換で譲渡する資産および取得する資産はいずれも固定資産であること
②土地と土地、建物と建物のように同じ種類の資産の交換であること
③譲渡する資産は1年以上所有していたものであること
④取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものではないこと
⑤取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること
⑥交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること—。
上記の総てに当てはまれば、申告は必要だけれども税金は発生しません。
但し、不動産業者などが販売用に所有している土地などは「たな卸資産」となる訳で、特例の対象外です。
身内や知人間の不動産取引、事前に相談をしていれば有利な制度があったのに、確定申告のときになってでは取り返しがつかないことがあります。
契約や実行前の相談がポイントです!
税理士 冨岡弘文