政府の予算は年度ごとにつくり、そして年度内に使い切るのが原則だ。
だが、それだと将来にわたる必要額があらかじめ見込みにくい事業に予算を付けにくい。
そのため単年度の予算計上が難しい事業のため長期にわたって積み立てている資金を「基金」という。
国の予算に計上して新規に設置し、または既存の基金に積み増して、国が公募などで選んだ独立行政法人や公益法人が他の財産と分けて保管する。
明治政府が凶作に備えて困窮者対策として定期的に資金を積み立てたのが始まりとされる。
事業形態に応じて、①基金を取り崩して補助金などを交付する「取り崩し型」、
②出資金や貸付金として交付し、最終的に資金を回収する「回転型」、
③債務保証などに使う「保有型」、
④基金の運用益の範囲内で事業を行う「運用型」――の4つに大別される。
2008年のリーマン・ショック後の経済対策などで徐々に活用が始まったものの、規模はさほど大きくなく19年までは2兆円台の残高で推移してきた。
それが新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した20年度になると新たな基金が乱立し、22年度には16.6兆円にもなった。
毎年の補正予算編成のたびに水ぶくれし、使い道が不明瞭かつ設定後の管理がおろそかであるなど、多くの問題が指摘されている。
使われていなくても返納のルールがないため基金は積み上がる一方だ。
次回からは府省庁が設置する個別の基金の実態を紹介していく。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。