会社の業績が急激に悪化!事業年度途中での役員報酬減額をした場合に、役員報酬は損金に算入できますか?
先ず、役員と従業員では、会社との関係が全く違うと肝に銘じることが必要です。
社長は「雇用」されている訳ではありません。
役員報酬を期中に変更した場合には、たとえそれが減額変更でも原則的には全額を損金に算入できなくなります。
但し、減額が「やむを得ない事由」に基づくという事実を証明し、それが税務署に認められれば、全額を損金として扱えます。
事由の一つ目は「業績悪化改定事由」といわれるもので、経営状況が著しく悪化するなど、やむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない事情があるものを指します。
例えば、①株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての経営上の責任を取るためのもの、②銀行との借入金返済のリスケジュール協議によるもの、③取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から経営状況の改善を図るための計画策定によるもの・・・などが該当します。
次に、「臨時改定事由」と呼ばれる減額があります。
これは、①役員の職制上の地位変更、②役員の職務内容の重大な変更、③その他これらに類するやむを得ない事情・・・などです。
①の職制上の地位変更による改定には条件がありませんが、②の役員職務の変更には職制上の地位変更がなく職務上に重大な変更があるのであれば該当します。
減額改定の理由が業績悪化事由か、臨時改定事由のいずれにも該当しない場合には、減額改定前の定期給与の額のうち、減額改定後の定期給与の額を超える部分の金額については、損金不算入となります。
税理士 冨岡弘文