相続財産というと、預金や不動産を思いがちですが、借金などマイナスの財産も対象です。
そして相続人は、3つの選択肢から選ぶことになります。
1.プラスもマイナスもすべてを引き受ける「単純承認」
2.プラスの範囲内でのみマイナスも引き受ける「限定承認」
3.すべての引継ぎを拒否する「相続放棄」
相続が発生して間もないときなどで「限定承認」が選ばれるケースもあるのかもしれません。
実務の事例は少ないようです。
私はこの業界に40年近くいるけど、事例に接する機会はありませんでした。
一方で、明らかに借金が多いときには「相続放棄」を選ばざるを得ないのでしょう。
東日本の震災の際には、生命と共に財産すべて失って、ローンだけが残ったような悲惨な相続が多く発生しました。
通常は3か月以内という、裁判所への手続き期限の延長措置がなされたニュースを忘れません。
さて、相続放棄を選ぶと何もかも受け取れないのかというと、生命保険金は別扱いです。
もし、受取人に指定されていた生命保険金があれば、これは相続を放棄したかどうかにかかわらず受け取る権利があります。
これは保険金があくまで受取人固有の財産だからです。
もっともここで注意したいのは、保険金が受取人固有の財産だというのはあくまで「民法」の規定であり、「税法」では保険金は「みなし相続財産」に含まれるといことです。
つまり、相続放棄した人が受け取った保険金も相続税の課税対象になります。
「相続放棄と受取った生命保険金の相続税」に続きます。