N分N乗方式
N分N乗方式とは、一家の総所得を家族の人数で割ってから所得税額を算出する税制のこと。
子どもの数が多ければ多いほど課税額が減少するため少子化対策に有効な制度とされており、実際に出生率の高いフランスで導入されている。少子化が進む日本でも導入を求める声が上がっており、1月の国会代表質問で自民党の茂木敏充幹事長が「画期的な税制」と紹介したことをきっかけに議論が加速した。
具体的な計算手順としては、
①家族の所得を家族構成に応じて決める除数「N」で割って一人当たりの所得を算出する、
②一人当たりの所得に税率を掛けてそれぞれの税額を算出する、
③それぞれの税額をN倍して世帯の税額を算出する―となっている。
世帯の人数が多いほどより低い税率が適用されるため、子どもをもうけるインセンティブになるとされている。
ただ、共働き世帯と比較して片働き世帯のほうが有利になるためN分N乗方式の導入には批判の声もある。
また、高所得者ほど恩恵が大きくなる一方、所得が低いほどメリットが少なくなるという特徴もある。
岸田文雄首相も「導入にはさまざまな課題がある」と慎重姿勢をとっている。
財務省の試算によると、N分N乗方式を導入すると4兆円から5兆円の税収減となる。
減収分を補てんするには消費税を約2%引き上げる必要があるという規定により非課税とされている。
同様の理由で非課税となっているものとしては、健康保険の保険給付や雇用保険の失業給付などがある。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。
相模原市の税理士 冨岡弘文税理士事務所