時代遅れの「印紙税」しかし、侮ったら重い処分が!
政府がペーパーレス、電子取引や電子帳簿を呼びかける時代に、印紙税なんてナンセンスです。
我々、税理士は税理士会を通じて税制改正の要望を毎年出しますが、少なくともここ数年は必ず「印紙税の廃止」を訴えている筈です。
そうは言っても、税制がある以上は、きちんと対応しないといけません。
契約書や領収証など、仕事を行う上ではさまざまな書類を扱います。
そしてその多くが印紙税の課税対象となりますので、陰士の取り扱いには十分注意しなければなりません。
万が一の税務調査で誤りを指摘されてしまうと、それが「うっかり忘れた」であっても過怠税というペナルティーが待っています。
過去の私の経験では、関与を始めたばかりの会社とその子会社に税務調査の連絡があり、来たのは「印紙税のプロ」調査官が2名。
新任の税理士(わたし)は、過去の元帳を見るとなんだか交際費が多めなので突っ込まれないかと心配していたのですが、そもそも総勘定元帳などは見向きもせず、過去の契約書などを片っ端からチェック!
結局、親子会社間で取り交わしていた書類に印紙が無くて、大変な追徴になりました。
そもそも、法律上、税理士は印紙税については税務代理権限の対象外なのですが、顧問としての立場上、調査官にはあれこれ物を申したものでした。
印紙税の納付は、原則として「作成した課税文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、印章又は署名で消印すること」で行われます。
課税文書の作成者が、納付すべき印紙税を課税文書の作成時までに納付しなかった場合、つまり印紙を貼り忘れてしまった場合の過怠税は、印紙税額とその2倍です。
つまり当初の印紙税額の3倍を徴収されることとなります。
また、貼り付けた印紙について所定の方法で消印をしていなかった場合にも、消印されていない印紙の額面と同額の過怠税が徴収されます。
但し、税務調査を受ける前に自主的に税務署に申し出れば、過怠税は不納付の印紙税額とその10%の合計(つまり印紙税額の1.1倍)に軽減されます。
通常の税務調査でも、書類を確認していて印紙税の漏れが見つかることはよくあります。
この場合に、納税者に悪意が無く、たまたまミスであった場合などは指導の意味で1.1倍の過怠税で済まされることも多いのです。
政府も時代遅れは認識しているけど、それなりの税収なので廃められません。
憲法で、税金は法律に基づいて決めることとされています。
税金の法律は国会議員によって決められます。
国会議員を決めるのは我々有権者。
選挙では、有権者の関心が高い消費税などについて活発な議論が交わされます。
但し、関心は偏りがちになるようです。
(私は、ポピュリズムも気になります)
有権者の多くはサラリーマン世帯で印紙税とは無縁の生活、なかなか選挙の論点には挙がりませんが、何とかしてほしい遺物です。