議会で法律を成立させる手続きなしに、米国の大統領が直接、政府機関や軍に出す命令のこと。
「行政命令」「大統領覚書」「大統領布告」などの形式がある。
議会の承認を得なくても済むため、大統領が速やかに政策を実行したい際に使うことが多い。
合衆国憲法は大統領令について詳細に規定していないものの、歴代の大統領は通商や移民政策、環境規制などさまざまな分野で活用してきた。
しかし、大統領令は万能ではない。
現行の法律の範囲内で命令するため効力には限界がある。
議会は法改正に時間がかかるものの、政策の実行については強力な権限を持つ。
このため大統領令に反対する新たな法律をつくって効力を失わせ、対抗することも可能だ。
大統領令が憲法に反する内容だと、最高裁判所が違憲判断を示して無効にするケースもある。
前の大統領が出した大統領令を、次の大統領が無効にすることもある。
議会で与野党の対立が激しくなって、大統領が望む法律が通らない場合に大統領令の活用が増える傾向がある。
署名する大統領令の数に制限はない。
野党や地方政府、企業、民間団体などが大統領令の無効を求めて提訴することも多い。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。