白色申告の確定申告では家族従業者への給料が不利な取り扱い
「青色申告」の利点については別な機会にも説明していますが
帳簿をつけるのが面倒なので、白色申告という自営業者もあると思います。
(税理士事務所の顧問先は、皆さん青色申告だと思うのですが)
様々な優遇が認められる青色申告と対比するなら、白色申告は原則的と言えるのか?
但し、理不尽とも指摘される待遇があります。
家族従事者に労働の対価として支払ったお金を、事業者の必要経費として認めない所得税法56条の規定がまさにそれです。
同法によると、家族従事者が働いた分の賃金は事業主の所得となり、事業専従者が配偶者であれば86万円、配偶者以外の家族なら50万円が控除されるだけです。
これによって、家族従事者は社会保障や行政手続きなどの面で不利な扱いを受けることになっていると、同法の改正を求める動きがあります。
政府としては、青色申告を選択することで給料を経費にできるのだからと主張しますが、
選択するのは事業者に委ねられているのであって、申告の方法で経費性に違いがあるのは「納税者差別」いう声もある。
更に、2014年の改正で、すべての事業者に記帳が義務付けられているので「青色になればいい」という言い分も説得力を欠いている感があります。
海外の主要な国でも、家族従事者の働き分は必要経費と認められている様子で、国連の女性差別撤廃委員会は2016年に、所得税法が「家族従業女性の経済的自立を妨げている」と日本政府に見青しを求める勧告をしています。
相模原市の税理士 冨岡弘文税理士事務所