所得税の確定申告 「手帳がなくても障害者控除」
障碍者控除は所得税法で規定する所得控除のひとつだが、ハンディキャップを持つ人に税制面での優遇措置が講じれれている訳です。
納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障碍者に当てはまる場合には、障害の程度によって27万円から75万円が所得から控除されます。
「障碍者手帳」を持っていると、控除対象になる人と判断され易く、所得控除に思い至る方も多いはず。
しかし実は手帳を持っていなくても、65歳以上で、その生涯の程度が「障害者手帳などを持っている知的障害者や身体障害者に準ずる」と市町村長や特別区の区長から認定を受ければ、障害者控除の対象となることはあまり知られていないようです。
この場合、認知症による要介護者や要支援の人についても、介護等の程度にもよるのだが認定を受けられる人に該当します。
平均寿命は高くなる一方で認知症の高齢者が増えている昨今、障害者控除を受けられることを知らずに税務で損をしている人もいるのではないかと思います。
控除を受けることを忘れる人が多い理由には、認知症による「要介護や要支援の認定」と税務上の「障害者控除の認定」がセットで行われないことも背景にあるのかもしれない。
どちらも認定者の住所地の市区町村が行うものの、両者の認定は別々に行われているため、認知症によって要介護や要支援の認定をされても、所得税の障害者控除の認定は別の手続きを起こさねばならないという制度間の縦割りの弊害だろう。
ここでもマイナンバーの体たらくが残念です。
さらに踏み込んで、
冨岡弘文税理士事務所では、相続の相談と、相続税申告、更には亡くなった方の「準確定申告」の業務を承る機会がありまして、
寝たきりの親を介護していらっしゃったり、亡くなる前は寝たきり状態だったという方のご家族とお話をします。
そしてこれまでは、「障害者控除」をご存じなかった方もいらっしゃいます。
特別障害者の対象となる一つとして
・その年12月31日(亡くなった方は亡くなった日)の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人
とあります。
「認定」の文字は見えませんね?
私自身が両親の介護を長くした経験があり、役所手続きを重視するあまり、現場を忘れる事の無いように思い至った訳です。
税法には趣旨があり、基本は日本の常識なのです。
相模原市の税理士 冨岡弘文税理士事務所