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増税分の買いたたき

増税分の買いたたきとは、原材料の品薄など合理的な理由がないにもかかわらず、仕入先に対して消費税率の引き上げ分の上乗せを認めないこと。転嫁対策特別措置法に定める違反行為の一つで、最もよく行われる転嫁拒否の形でもある。
2013年の8%への消費増税に際して、増税のしわ寄せが下請けの中小企業に押し付けられないよう、国は消費税転嫁対策特別措置法を定め、①減額、②買いたたき、③商品購入、役務利用または利益提供の要請、④本体価格での交渉の拒否、⑤報復行為――を禁じた。違反行為に対して公正取引は指導や勧告を行うほか、悪質であれば社名公表に至る。
もっとも、対策法があっても転嫁拒否は依然として横行している。公正取引委員会による指導や勧告は13年4月から今年8月までに5510件行われ、社名公表に至った事例も50件あった。そのなかには吉野屋グループ、住友不動産、マイナビ、イトーヨーカ堂、リクルートなど有名企業の名前が並ぶ。
指導・勧告を受けた違反事例のうち、最も多かったのが、増税後も取引価格を据え置くかたちで上乗せを認めない「買いたたき」で、全体の9割弱を占めている。
10%への増税を受けて公取委は転嫁拒否への監視を強化する姿勢だが、取引を中止される恐れから、買いたたきにあった中小企業は口をつぐまざるを得ない。大企業の買いたたきによる負担を中小企業が強いられる構図は、今後も続きそうだ。

 

~この記事は 「税理士新聞」から許可を頂いて転載しています~

第1642号(10月5日号)

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