司法取引制度
司法取引制度とは、自分や他人の犯罪について警察などに情報提供することで、取り引きした本人の刑罰を軽くしてもらう制度。
日本でも今年6月から導入されることが決まった(詳細4面)。
司法取引を犯罪捜査に取り入れている国は多く、なかでも米国ではマフィアなどが関わる組織犯罪などの解明に昔から役立てられてきた歴史がある。
司法取引が導入されるメリットとしては、犯罪発見の確率が高くなることや共犯者を一網打尽にできること、犯罪捜査のスピードが上がって捜査や裁判にかかるコストが軽減できること、他人が自分の犯罪について司法取引するかもしれないという懸念から企業などの法令順守意識が高まることなどがある。
逆にデメリットとしては、自分の罪を軽くしたい理由からの虚偽証言が増え、それに伴ってえん罪のリスクが高まることや、捜査機関が司法取引に頼ることで客観的な証拠収集などがおろそかになること、いざとなれば司法取引で罪が軽減できるという考えから逆に罪を犯す人が増えてしまうことなどが想定される。
また米国では犯した罪によって量刑が推測できる「量刑ガイドライン」があるため、取り引きによる恩恵が分かりやすいが、日本版ではそうした基準がないため、取り引きをしたにもかかわらず求刑に考慮されなかったなどの運用面でのリスクも懸念されるところだ。
虚偽供述による司法取引をさせないためにも、当面は捜査機関、司法機関ともに、抑制的な運用が求められる。
~この記事は『税理士新聞』より許可を頂いて転載しています~