事業成長担保権
事業成長担保権とは、融資を受ける際に会社の事業そのものを担保にできるようになる新たな権利だ。
金融庁は「今国会で法案を提出し、3年以内の導入を目指す」としている。
事業成長担保権により、企業は事業から生じる将来的なキャッシュフローをノウハウや技術力といった無形資産から算出し、見合った額の融資を受けられるようになる。
担保権の設定は金融機関との信託契約によって行う。
設定した内容は商業登記簿に登記するため、設定に至った原因や事業成長担保権者の名称については誰でも閲覧可能となる。
債務不履行時には、裁判所に選任された管財人が第三者に対する事業の承継や個別資産の売却などにより担保権を実行する。
金融庁は事業成長担保権を「貸し手と借り手が同じ方向を向く担保権」と表現する。
事業から生じる将来的なキャッシュフローを担保とすることから、借り手である中小企業は担保価値が下がらないような経営努力が求められ、一方の貸し手である金融機関も継続的な支援をする必要に迫られるためだ。
現行の担保制度では、民法上の抵当権や質権に基づき、原則として現預金や土地、建物などの有形資産しか担保にできない。
金融庁は、有形資産を前提とした従来の仕組みが中小企業金融における「経営者保証」の過剰な設定を助長していたとして、改善策を模索してきた。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。
相模原市の税理士 冨岡弘文税理士事務所