経営者保証
経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受けるにあたり、経営者個人が会社の連帯保証人となることを指す。
融資を回収できないリスクを減らす目的で金融機関に要求されるが、当然ながら保証人となった経営者は個人資産を失うリスクにさらされる。
東京商工リサーチの調査によると、倒産した中小企業の7割近くで経営者自身も自己破産を余儀なくされているという。
政府は、経営者保証により経営者個人が大きなリスクにさらされることが経営判断や事業承継に悪影響を及ぼしているとして、かねてより金融機関に改善を求めている。
政府の働きかけを受け、2014年には全国銀行協会と日本商工会議所が一定の基準を満たした企業に対して経営者保証を求めないよう金融機関に要請する「経営者保証に関するガイドライン」を策定した。
現在も中小企業庁や金融庁がガイドラインの活用事例集を定期的に公表するなどして普及を進めている。
ガイドラインの策定以降は改善しつつあるものの、いまなお多くの中小企業の新規融資で経営者保証が要求されている。
2021年度の新規融資で経営者保証が付けられた割合は、民間金融機関で70%、政府系金融機関で53%だった。
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」では、経営者保証が「創業意欲の阻害要因となっている」として、起業家に経営者保証を求めない新制度を検討するとしている。
この記事は「税理士新聞」から許可を頂き転載しています。
税理士 冨岡弘文