従業員持株会
従業員持株会とは、従業員の資産形成の一環として自社株を取得できるようにする制度のこと。
従業員の給与や賞与から天引きして資金を集め、購入した自社株を拠出金に応じて分配する仕組みとなっている。
企業は持株会の加入者に対し、一般的に拠出金の5?10%程度の「奨励金」を支給する。
企業にとっては、持株会を通じて毎月の給与から拠出金を集められるようになるため、安定的な資金調達が見込めるという利点がある。
また、福利厚生のひとつとしてアピールポイントにもなる。
一方の従業員にとっては、通常の積立投資と同様に企業の業績次第で元本割れするリスクがあるものの、企業から奨励金の支援を受けられるメリットがある。
仮に企業が奨励金を10%に設定していると、従業員は1万円の拠出で1万1千円分の自社株を取得できる。
岸田政権が中間層の資産所得拡大を見据えた「資産所得倍増プラン」を発表したことを受け、従業員持株会の拡充に向けた国の支援を求める声が高まっている。
日本証券業協会の森田敏夫会長は、「持株会は上場企業の9割が導入しているものの実際の利用者は4割程度にとどまっている。
中間層の資産所得拡大に向けてもっと活用を促せるよう税優遇を措置すべきだ」として、従業員の資産形成を促す奨励金や、持株数に応じて支払われる配当金の非課税化を求めている。
この記事は「税理士新聞」から許可を頂き転載しています。
税理士 冨岡弘文