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法定後見制度

法定後見制度とは、精神上の障害を抱える人が制限されてしまった法律行為について、家庭裁判所が指名した「法定後見人」が代行できるようにする仕組みだ。
高齢化社会で急増している認知症患者などに多くのニーズがあると見込まれるが、制度の使い勝手の悪さを理由に利用件数が低位にとどまっているとして、政府は見直しに着手している。

民法上で「意思能力がない」とみなされる認知症患者や知的障害者は、自由に預貯金の引き出しや不動産の売買ができなくなるなど財産管理や契約が制限されてしまう。
財産を動かすには、親族らが家庭裁判所に法定後見制度の申し立てを行い、法定後見人を選任してもらう必要がある。

国内には認知症の人だけでも約630万人いると推計されているが、2021年末時点の法定後見制度の利用者数は23万7270人と4%未満に過ぎない。
政府は制度が浸透しない理由として、①法定後見人は弁護士や司法書士などの専門家が大半を占めており親族が選ばれるケースが少ない、②法定後見人として専門家が選ばれると月額数万円の報酬を支払い続けなければならない、③原則として途中で終了できない――といった点を挙げている。
3月に閣議決定した「第二期成年後見制度利用促進基本計画」では、後見人の交代や制度の終了を柔軟に行えるようにする見直し案を盛り込んだ。

 

この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。

税理士 冨岡弘文

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