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年金の繰下げ受給

年金の繰下げ受給とは、年金の受け取り開始日を原則の65歳から後ろ倒しすることを指す。
繰下げた月数に応じて将来的に受け取る年金の年額が増やせる。
繰下げの限度は70歳までとなっていたが、4月に施行された年金制度改正法により、75歳まで延長された。
繰下げできる期間が延びた分、これまで以上に年金額を増額できるようになった。

繰下げ1月あたり0.7%が年金額に上乗せされる。
例えば68歳まで繰下げると、年金額は25.2%(=0.7%×36カ月)の増額となる。
従来は70歳まで繰下げた際の42%が増額の上限だったが、今回の改正により最大84%まで拡大した。

ただ、受け取り開始が遅くなる分、本人の死亡時期によってはトータルの受給額がかえって減少するリスクがある。
国の試算によると、75歳まで繰り下げた人の受給総額が65歳から受給開始した場合を超えるまでに10年程度かかるとされている。
少なくとも男性の平均寿命(約81.6歳)よりも長生きしなければ損になる計算だ。

また、繰下げにより年金額が増えると負担する社会保険料や税金の額も大きくなるため、額面ほど手取りは増えない。

なお、年金の受け取り開始を早めることは「繰上げ受給」と呼ぶ。繰上げの限度は60歳までとなっており、繰上げる期間に応じて年金額は減少する。
従来は1月当たり0.5%の減額とされていたが、今回の改正により1月当たり0.4%へと緩和された。

※この記事は「税理新聞」に許可を頂き転載しています。

税理士 冨岡弘文

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