第1719号(2021年11月25号)
◆「(税のバラマキを批判した)事務次官の処分は考えていない」(11月10日、岸田文雄首相)――月刊誌「文藝春秋」のインタビューで。与野党の経済対策を「バラマキ合戦だ」と批判した矢野康治財務事務次官に対する処分を考えているか問われ、「全く考えていない」と応じた。矢野氏は同誌11月号に寄稿した「財務次官、モノ申す」と題する論文のなかで、選挙戦前に各党が並べた大規模財政出動を前提とした政策論争について「夢物語」「これまで往々にして選挙のたびに繰り広げられてきました」などと指摘し、日本は経済成長だけで財政健全化するのは難しいと訴えた。矢野氏は論文掲載前に官邸や麻生太郎前財務相の内諾を得ていたとされるが、掲載された内容について自民党の高市早苗政調会長が「大変失礼な言い方だ」と批判するなど、政府・与党内で反発も出ていた。
◆「事業者向け給付金の額が半分になっている」(11月11日、日本共産党の志位和夫委員長)――記者会見で。岸田首相が発表した事業者向けの給付金について、「首相は持続化給付金並みの支給を行うと言っていたが、実際には額が半分になっている」と指摘した。首相は同日、コロナ禍で打撃を受けた中小事業者向けの新たな給付金として最大250万円を支給する方針を固めた。1カ月の売上が前年か2年前の同月より30%以上減った事業者に対して給付するというが、年商1億円未満の事業者は最大100万円、個人事業主は最大50万円となるなど、事業者の規模によっては昨年の持続化給付金の半額の支給にとどまる見通しだ。
◆「(10万円給付は)経済対策なのか困窮対策なのかはっきりしない」(11月11日、立憲民主党の長妻昭副代表)――記者会見で。政府与党が進める18歳以下への10万円相当の給付策について「経済対策なのか困窮対策なのか。相当な財源を使うわけだからはっきりしないと」と指摘した。自公両党は年内に現金5万円を給付し、残り5万円はクーポン券として来春までに配ることを合意した。給付対象について当初は一律としていたが、「バラマキではないか」との世論の批判を受け、年収960万円未満の世帯に限る所得制限を設けるに至っている。長妻副代表は「困難な状況の方々に対する緊急の支援こそが必要だ」と主張した。
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