人材派遣型企業版ふるさと納税とは、企業が自治体に社員を派遣し、人件費を寄付として負担する制度のこと。
法人向けのふるさと納税制度のひとつで、2020年10月に導入された。内閣府によると「自治体側には財政負担のない人材確保や民間ノウハウの吸収といった利点があり、一方の企業側には社員の育成や税の軽減などのメリットがある」という。
人材の豊富な大手企業を中心に活用が進んでおり、今年4月1日時点では30社が83自治体に累計102人を派遣している。
企業の節税メリットは大きい。
自治体への寄付による通常の損金算入(寄付額の3割)に加え、法人税や法人住民税、法人事業税といった「法人関係税」が最大6割控除されるためだ。全体として寄付額の最大9割もの節税効果が得られる。
もっとも同制度にはさまざまな課題もある。
利用しているのは第一生命保険や南海電気鉄道、九州電力など多くの人材を抱える大手企業に限られているのが現状だ。
また、寄付をした企業に対して自治体が経済的見返りをすることは禁じられているものの、野党からは「企業と自治体の癒着に繋がりかねない」といった批判もある。
本社所在地の自治体には寄付できないため、大手企業の多く立地する自治体は税収減となってしまうおそれもある。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。