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解説 国の基金 「地域医療介護総合確保基金」

団塊の世代が75歳以上となり、医療・介護の必要性が高まる2025年を見据え、14年に造成された基金。
主管は厚生労働省。
基金設置団体は47都道府県。
国が掲げる「地域医療構想」の達成を目指すが、本質的には増え続ける医療費の削減を目的としている。

「地域医療構想」は25年以降に必要とされる病床数を推計したうえで都道府県がその調整方針・計画を定める一連の取り組み。
17年までに都道府県がまとめた「25年時点の推計必要病床数」は約119万床。
13年時点の約135万床から15万6千床減らす計画で、削減率はじつに11.6%となっている。
首都圏などを除く41道府県で病床数が減り、8県では削減率が3割を超える。
これは内閣官房の専門調査会が15年に示した削減計画と符合する数字だ。
削減率が3割を超えたのは鹿児島、熊本、富山、宮崎、佐賀、徳島、山口、高知の8県。
2割台は19県。熊本、鹿児島、北海道の3道県では削減数が1万床以上となっている。

基金は消費税の増収分などを財源とし、国が費用の3分の2、都道府県が残りを負担。医療・介護事業者からの申請を審査したうえで補助金を支給する。
国・都道府県による14~24年度の累計予算額は、医療分・介護分の合計で約2兆円。
巨額の税金を投入して病床削減を推進した基金事業だけに、コロナ禍で病床不足が生じた際には多くの批判を浴びた。

 

この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。

相模原市の税理士 冨岡弘文税理士事務所

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