信託型ストックオプション(信託型SO)とは、あらかじめ決めた価格で株式を購入できる「ストックオプション(SO)」の交付に当たって信託会社を利用するスキームのこと。
発行したSOを信託会社に預けておき、成果や貢献度に応じて役員や従業員らに交付する仕組みとなっている。
国税庁はこのほど、信託型SOによって役員や従業員らが得た利益は給与課税にあたるとの見解を示した。
信託型SOのメリットは、信託会社を介すことで企業価値が低い成長初期の段階のSOをプールしておける点にある。
通常のSOでは企業の成長段階に応じてSOの価値が変わるため、企業が成熟してから入社した役員や従業員らは最初から価値の上がったSOを受け取ることになり利益を得づらい。
一方の信託型SOは企業価値が低い時期のSOを受け取れるため、役員や従業員らの入社時期にかかわらず同等の利益を得られるようになっている。
国税庁によると約800社が利用している。
信託型SOの税制を巡っては、これまで税率20%の金融所得と捉えていた企業が少なからず存在したが、国税庁は5月29日にスタートアップ関連団体が開いた説明会で「給与課税にあたる」とし最大税率55%の累進課税が適用されると説明した。
もっとも国税庁は「従来から見解が変わったわけではない」としている。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。