帳簿がどっかに行ってしまった?「推計課税」されちゃうかも。
はじめに・・火事で燃えちゃったとか、常識的にやむを得ない場合ではなく、
基本的にだらしない人への戒めの話題です。
このたび初めて税務調査を受けることとなりました。
恥ずかしながら帳簿の一部を紛失してしまい、
正確な数字を把握することが出来ません。
一体どうなってしまうのでしょうか?
たとえ、個人の事業者でも、税理士が顧問している以上はこんなことはありません。
私が経験するのは、税務調査が決まってから立ち合いの依頼を受けるケースです。
きちんとした帳簿が無くても、何らかの記録や記憶や、事実確認の資料を用意して対応すべく頑張りますが、手掛かりが無ければお手上げ。
それは、調査する側も同じです。
帳簿を紛失してしまった場合、国税当局としては納税者の生活状況、財産債務の増減、従業員数、同業他社との比較といった方法で所得金額を「推計」され、課税されるのでしょう。
ご想像のように、その金額は甘くはなく、本来、自己の帳簿に基づいて算出する金額よりも高い金額になることが多いようです。
帳簿はなくさないように保存しなければなりません。
「推計」は納税者の生活状況などを基準にして行われるのですが、具体的な方法がはっきり決まっている訳では無いようです。
自らも合理的な方法について、調査官に提案して話し合う余地はあるものと思います。
ところでこれが青色申告者であったなら、推計課税なんてことになれば青色承認申請が取り消されるのは言うまでも無いですね。
更に、怖いのは消費税です。
所得税法と、法人税法には推計課税の規定がありますが、消費税法にはありません。
仕入税額控除には帳簿の記載と保管が重要な要件なのです。
帳簿がなくなって、証拠を示せない支出については、支払った消費税額を受け取った消費税額から差し引けないと言うのが法律上の取り扱いです。
調査の現場で、どのようなやり取りになるかは別にして、
最悪の場合、ちょっと恐ろしいことになります。
税理士 冨岡弘文