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シロアリ駆除で雑損控除

シロアリ駆除で雑損控除

長く税理士業界にいて、多くの所得税の確定申告をやりましたが
「雑損控除」って経験が無いかも。
これって、ある意味で幸せなのかもしれませんね?

「災害または盗難若しくは横領」による損失が雑損控除の対象です。
地震や台風などの被害が分かりやすい事例でしょう。

納税者本人のほかに、その人と生計を一にする親族(その年分の総所得金額などの合計額が基礎控除の額以下の人に限る)の有する生活用動産および業務用資産も対象です。

ところで、近年は泥棒よりも「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」といった詐欺こそが最大の犯罪手口。
雑損控除の規定では、詐欺は対象となっていないのは残念です。
キャッシュカードを預けてしまって、銀行のお金を引き出された損害は、盗難なので対象ですね。

制度が出来た時代から世の中が変わっているのですから、この辺りの税制も見直しが必要かと感じます。

さて、家の土台を食い荒らすシロアリの被害。
最近は建築技術が進歩して、減ってきているのかもしれませんが、
被害が確認されれば、徹底的な駆除が必要で費用も嵩むようです。
シロアリによる被害は「害虫などの生物による異常な災害」として、雑損控除の対象となります。

具体的には、シロアリによって損害を受けた家屋の修繕に要した費用、シロアリを駆除するために係った費用が対象です。

但し、シロアリの被害を受けないように、防止のための費用や、駆除と同時に行う予防の費用は雑損控除の対象にはならないので注意が必要です。

詳しく言うと、雑損控除に規定する「被害の拡大または発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための支出」には当たらないという事です。

雑損控除は、応急措置に係る費用のように、その災害による被害の発生・拡大を防止することのみに必要な支出でないと適用対象にならないのです。

最後に、住宅や家財について受けた損害には「災害減免法」という法律による救済制度もあり、雑損控除との選択になります。
計算方法が違うので、どっちが有利になるのか判定するのかと思います。

 

税理士 冨岡弘文

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