引越して貸家にしていた不動産の譲渡で控除は?
コロナ禍で、働き方や暮らし方に大きな変化が起きた方もあるのでしょう。
『近年大人気の高層マンションに暮らしていたものの、リモートワークの定着で故郷に戻ってみたらとても快適』
『この一年、都心のマンションは甥っ子に貸家にしていたのだけれど、この際地方に永住を決めて、マンションは今年中にも甥っ子に売ってあげようかと思いました』
このような場合に、居住用不動産の売却に適用される譲渡所得に適用はどうなるのでしょうか?
所得税の特例によれば、個人が居住用に使用している家屋を譲渡した場合、譲渡所得の金額から3000万円を限度に控除できます(租税特別措置法35条)。
例えばマンションがすごく値上がりして4000万円の譲渡所得が発生したとしても1000万円になる訳です。
さて、ビックな特例ですが適用出来るかは注意も必要。
家屋には、建物だけではなく、敷地や借地権も含まれますが、個人が居住用に使っていることが条件です。
一部分を業務用としていれば、居住用部分にのみ特例は適用できます。
所有者が居住用にしている家屋が2か所以上ある場合も、所有者が主に居住していると認められる家屋を売却する場合にしか認められません。
所有者が居住しないで貸家にしている場合も。
居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎると特例は認められなくなります。
譲渡する相手も注意が必要、譲渡先が配偶者や直系血族だったり、所有者と生計を一にしている親族だったりする場合には特例は認められません。
更に、居住用不動産を譲渡する年の前年又は前々年に同じ特例の適用を受けていた場合にも新たな特例の適用は認められないこととなっています。
さて、今回のケースでは、売却する時点では居住用の不動産では無い事で、居住用不動産の3000万円控除の特例が見落とされがちかもしれませんが。
①譲渡先は親戚であっても直系血族ではなく同居親族でも無い。
②所有者が居住用不動産に居住しなくなってから3年以内の条件に当てはまるうちに売却する。
などの条件を満たせば適用があります。
更に、譲渡益が3000万円を超えて課税が生ずる場合にも、軽減税率の特例の適用があります。