生計が一緒の家族に支払った家賃は経費にならない
親が持っている建物を、お店や事務所に使ったり、土地を仕事の駐車場に使ったり。
よくあることだと思います。
他人だったら当然に家賃や地代を払うのですから、家族だって支払う事に問題はありません。
但し、個人事業である場合、所得税法ではこれら「同一生計親族に支払った対価」は支払った人の経費には出来ないという規定があるので注意が必要。
これは、家族ではお金の事が「なあなあ」だろうと言ったことから出来ている特別な決まり。個人単位課税の例外規定です。
ここで、注意が必要なのは、上記の例で、親への家賃は経費にならない一方で、親が負担している固定資産税などの経費のうち子に使わせている部分は子供の事業の経費に算入するという事です。
また、親については子供に貸していることについての収入も無いものと見なされます。
例えば、夫が弁護士で妻が税理士だったとして、夫の税務申告を妻に依頼したことで支払った報酬は、夫の弁護士事務所の経費にはならないと言う訳。
令和の時代には違和感はありますが、実務で重要なポイントです。
但し、正当な対価を支払う事自体に問題がある訳ではありません。
所得税の世界だけの論点です。
家によっては、このやり取りが、将来の相続税に影響する訳です。
相続対策は、税金やお金の問題だけではありません。
相談に乗ってあれこれ話すと、帰る時にはニコニコされるのが税理士冥利と感じています。