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住民税の特別徴収

たいていの市区町村で法人や個人の事業者に毎年5月の末までには、住民税の特別徴収の通知が届いていると思います。
税理士的に言うと「給与所得等に係る市県民税・県民税特別徴収税額の決定通知書(特別徴収義務者用・納税義務者用)」が事業者(給与支払者)に対して送付されるという事です。

住民税の特別徴収とは、個人住民税を納付書ではなく、給与からの天引きによって徴収する制度のことです。以前は、会社が給与支払報告書を作成するときに「普通徴収希望」とすると認められたものですが、自治体の徴収業務の負担軽減のため、特別徴収の義務化が全国的に進んでいます。

税金制度の説明に戻ると、住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。
特別徴収はサラリーマンなど給与所得者を対象としたもので、前年の所得を基に算出された住民税を12等分して、毎月の給料から天引きして納める方法です。それに対して「普通徴収」は、市区町村が納税者に対して年4回に分けて納付書を送り、それに基づいて金融機関などで払い込む方法です。

特別徴収を選択した場合は、事業者は従業員の給料から天引きした住民税を毎月納付する義務が生じ、期限を過ぎた場合には従業員ではなく会社が延滞金を負担しなければならなりません。
そのため事務負担などを考えて、小規模事業者などでは普通徴収を選択し、従業員それぞれが納付書に従って納めるという形を採用しているケースも多かったのです。

マイナンバーが登場し、行政はこの制度を活用することによって個人の所得を補足しやすくすることが出来るはずで、一方市区町村は徴収事務のコスト軽減が望まれることから、事業規模のいかんに寄らず全事業者を特別徴収義務者として一斉指定する自治体が増えているのです。

アルバイトやパートも含む総従業員数が2名以下であったり、税額を引けないほど給料が少ない場合を除き、ほぼすべての事業者が特別徴収の納税義務を負う状況となっています。

日本では「番号制度」に対するアレルギーは強く、行政の効率化経費節減は初期の目論見が難航してます。
一方で、行政の経費節減は常に求められる課題。昔のように零細事業者へ恩情を傾ける訳には行かなくなったという訳でしょうか。

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