日本学生支援機構 (JASSO)から奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)を借りた本人に代わって、勤務先が奨学金を返還する制度。
奨学金返還分を給与へ追加するケースは従来からあったが、本人を介さず勤務先が直接JASSOに送金できる仕組みとして2021年4月にスタートした。
23年12月末時点で1463社が同制度を利用しており、最近では千葉信用金庫や大東建託パートナーズが導入した。
代理返済する金額は事業者に委ねられ、払込取扱票によって郵便局やコンビニから送金する。
24年度中には口座振替でも支払いができるように準備が進められている。
同制度では事業者・従業員ともに税制上のメリットが見込める。
事業者側は、支援対象者が役員など一部のケースを除き、返還額を給与として損金算入できる。
賃上げ促進税制の「給与等」の支給額にも該当する。
従業員が給与から返還額を捻出するケースと比べると、所得税の負担も少なくて済む。さらに月額の給与額を基に社会保険料も決定されるため、給与支給でない分、社会保険料の負担が減る可能性もある。
事業者にとっては税制面のメリットだけではなく、人材確保や離職防止、ブランディングの向上に効果があるとされる。
事業規模や業種にかかわらず幅広く導入が進むが、特に若手の人材確保が難しい建設業などで導入が目立つ。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。