社会保険適用拡大
社会保険適用拡大とは、2020年5月に成立した年金制度改正法により、今年10月からパートタイマーやアルバイトといった短時間労働者の社会保険の加入義務が段階的に広げられることを指す。
現在は常時500人を超える従業員がいる事業所で加入が義務付けられているが、10月からは従業員数100人超、24年10月からは同50人超と、対象が大幅に拡大される。
また、加入義務化の対象となる短時間労働者の条件として、①週20時間以上の勤務、②雇用期間1年以上の見込み、③月額賃金8万8千円以上、④学生以外――が挙げられるが、このうち②の条件は今年10月から2カ月超の労働者まで含まれるようになる。
短時間労働者にとっては、社会保険の加入が促進されることにより保障が手厚くなるというメリットがある一方で、事業者にとっては労使折半となっている社会保険料の負担が膨らむ。
厚生労働省によると、短時間労働者1人が新たに加入した際の会社負担額は少なくとも年間約16万円増えるという。
社会保険料の事業主負担額は、同省のホームページ上でシミュレーションできる。
なお、施行期日より早く自主的に適用拡大した事業主が受け取れる「キャリアアップ助成金」が用意されている。
1事業所当たり原則19万円が支給され、人数に応じて加算される。
※この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。
税理士 冨岡弘文