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親の相続が発生したが、兄の行方が分からない。遺産分割は?

親の相続が発生したが、兄の行方が分からない。遺産分割は?

『父亡きあと、先日に母が亡くなった。
3人の兄弟が相続人だが、以前から兄とは連絡が取れず、行方不明。
この場合には我々二人で相続の手続きが出来るのでしょうか?』

亡くなった方が遺言書を残していないのなら、残った相続人間で遺産分割協議を行わねばなりません。

遺産の整理には遺産分割協議書が必要となります。

民法では、遺産分割協議は、共同相続人全員の同意によって成立すると規定しています。
一部の共同相続人を除いて行った分割協議は無効という訳です。
したがって、お兄さんを除いたところで遺産分割協議は出来ないという事です。

ではどうしたらよいか?
相続人に行方不明の人がいる場合には、まず、不在者財産管理人を選定してもらう必要があります。

不在者財産管理人は、容易に戻る見込みのない不在者に代わって財産管理、保存は出来ますが、遺産分割協議や不動産の売却等は自由に出来ません。

今回の事例では、不在者財産管理人があらかじめ家庭裁判所から遺産分割協議という権限外行為することの許可を得た上で、遺産分割協議を行うことが考えられます。

詳細は、地域の家庭裁判所に直接確認するのが良いと思います。

私自身、駆け出し税理士の頃に受任した相続案件で、兄弟の一人が、かなり以前から行方不明という状況に出会いました。

税務とは離れるけど、不在者財産管理人を引き受けてくれませんかと頼まれた経験があります。
不在者財産管理人に相続人の一人が成った場合には、利益相反という別の問題が生じる為です。

この案件では、相続発生以前から、既に裁判所へ失踪宣告の申し出が為されていて、失踪宣告を受けた後に手続きをしました。

税理士は裁判所の受付では一市民、珍しい経験となりました。

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