6月14日の参院本会議で可決・成立した「改正商工中金法」により、政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)の民営化が決まった。
政府が保有する約46%の株式をすべて売却し、2年以内の民営化実現を目指すとしている。
商工中金は「中小企業の、中小企業による、中小企業のための金融機関」として1936年に国と中小企業組合の共同出資で設立された政府系金融機関だ。
他の政府系金融機関が融資に特化している一方、商工中金には融資のみならず預金の受け入れや債券の発行といった民間金融機関と同様の金融サービスを行っているという特徴がある。
災害や金融危機の際に国の利子補給で低利融資する「危機対応業務」も手掛けている。
政府は民営化により「半官半民の弊害を取り除く」としている。
例えば企業への出資上限が現行の10%から民間金融機関と同等の100%にまで引き上がるため、株式取得による経営関与やM&A業者の子会社化など幅広い事業再生支援が可能となる。
ただ、民営化により利益追求が必要な立場になるため、融資審査がこれまでよりも厳しくなる懸念がある。
金融機関の収益性を示す「預貸率(貸出残高÷預金残高×100)」は2022年9月末時点で105.6%と全金融機関の平均62.9%を大幅に上回っており、新たに貸し出す必要性も乏しい。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。