外貨建保険
外貨建保険とは、米ドルや豪ドルなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金を受け取る仕組みの生命保険商品のことを指す。
払い込んだ保険料は外国債券などにより運用されるため、保険でありながら運用実績や為替相場の変動などにより損益が発生する特徴がある。
国内の金利が低位にとどまり続ける中、外貨による利回りが期待できるとして外貨建保険の販売額は2010年代に急伸した。
しかし近年は、相場・為替変動による元本割れのリスクや早期解約のペナルティー手数料の発生といった重要事項の説明が不十分だったとして契約者が代理店に苦情を申し立てる事例が相次いでおり、国や業界団体が対応に乗り出している。
生命保険協会のデータによると、銀行等代理店で発生した外貨建保険契約に関する苦情の件数は調査を開始した2012年度の597件から年々増加し、19年には2822件に上っている。
また、金融庁の21年の調査によれば、外貨建保険の運用の結果として、全体の4割の契約者の含み損益が赤字に陥っているという。
こうした状況を受けて金融庁は17年、金融機関に対して勧誘時のモラル順守を求める「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表した。
生命保険協会は募集人のリテラシー向上を促すため「外貨建保険販売資格試験」を創設し、今年4月以降は有資格者でなければ外貨建保険を販売できないよう制度変更した。
※この記事は、「税理士新聞」から許可を頂いて転載しています。
税理士 冨岡弘文