◆「移転価格には当たらないという認識だった」(8月6日、ソフトクリーム製造大手の日世)――大阪国税局の指摘を受けて。ソフトクリーム製造機の製造マニュアルなどを提供する中国の子会社の所得について、実質的に親会社の所得に当たると認定された。2017年までの約3年間で約10億円の申告漏れを指摘されたことに対して、「移転価格に当たらないとの認識だった」とコメントした。過少申告加算税などを含めた追徴課税は約2億円で、すでに全額を納付しているという。同税制が適用されて申告漏れの部分に日本で追徴課税がされても、海外で子会社が納め過ぎた分について自動的に救済されることはない。企業からの要請を受け両国間の相互協議によって調整が行われることもあるが、膨大な手間がかかるといわれる。
◆「目先のお金欲しさに安易な考えでやった」(8月9日、埼玉県内の元税務職員)――自身の脱税行為について。埼玉県内の50代の税務職員が、兼業していた太陽光発電の売電などにかかる経費を過大計上するなど、所得税など約200万円を脱税したとして懲戒免職処分を受けた。また扶養の事実がない両親について扶養控除を適用したり、農業の経費を水増しして約83万円の還付金を受け取ったりしていた。さらに親族から受けた贈与について申告せず、贈与税約207万円も納めていなかった。「目先のお金が欲しくなり、安易な考えでやった」と説明しているという。すでに修正申告を済ませて、還付金もほぼ返納した。
◆「長期金利を理由にした増税延期はない」(8月15日、麻生太郎財務大臣)――閣議後の記者会見で。8月に入って世界的に株価が乱高下していることについて、「米中の貿易戦争以外のいろいろな要素が絡んでいる」と分析した上で、「為替にも影響してくるし、マーケットは安定しているに越したことはない」と懸念を表明した。前日の米英債券市場で、景気後退の前兆とされる国債の長短金利の逆転現象「逆イールド」が発生し、世界的な経済不安の見方も強まっているが、「(国債金利の)長短逆転を理由にして消費増税を延期するとかやめるつもりはない」と明言し、政府が例外的に増税延期を認める理由である『リーマン・ショック級の事態』には当たらないとの認識を示した。
~この記事は 「税理士新聞」から許可を頂いて転載しています~
第1638号(8月25日号)