グループ通算制度
グループ通算制度とは、複数の関連会社を持つ企業グループ全体に適用される税務申告のルールだ。2020年度の税制改正で導入が決まり、今年4月から移行している。
従来は企業グループの親法人がグループ各社の税務申告を一括して行う「連結納税制度」が適用されていたが、修正申告が発生した時にグループ企業全体で再計算を行わなければならないなど事務負担が過大となるデメリットがあり、長年にわたり問題視されていた。
グループ通算制度は、連結納税制度の「企業グループ内で損益通算ができる」というメリットを残しつつ事務負担の軽減が可能として導入が決まった。
新制度の特徴は、法人税の計算や申告納税をグループ各社が別々に行う点にある。
これにより、修正申告や税務調査によって更正処分が行われても、原則としてグループ内の他法人の所得計算には影響しない。
もっとも、新制度への移行はメリットばかりではない。
例えば旧制度では親法人の資本金が1億円を超えている場合のみ電子申告が義務化されていたが、新制度ではグループの全法人に電子申告が義務付けられることになる。
紙で申告してしまうと無効扱いとなり無申告加算税が課されてしまうので注意を要する。
これまで旧制度を適用していた企業は、特段の手続きを経ることなく、原則として4月以降は新制度に移行している。
この記事は「税理士新聞」の許可を頂き転載しています。
税理士 冨岡弘文